FC町田ゼルビア 2-1 流通経済大学
前半2-0
日時：2009年4月18日（土）
会場；町田市立陸上競技場
入場者数：1,538人
得点
26分 飯塚
41分 飯塚
64分 流通経済大学 |
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「サッカーの試合に勝つことが、こんなにも難しくて、そして、嬉しいこととは思わなかった」。
試合終了後、この日２ゴールを決めた飯塚が、記者会見室に向かう途中に、安堵した表情でポツリと呟いた。ゼルビアの今季ホーム初勝利に立ち会った、選手、スタッフ、サポーター、すべての人の気持ちを表した言葉だろう。
苦しんだ。この試合まで４連敗。これまで都リーグ、関東サッカーリーグで圧倒的な強さを見せつけて来たゼルビアにとって、まさに試練の時間だった。この日も、さい先よく２点を先取するが、後半素早いリスタートから1点を献上すると、終盤にはあわや同点というピンチもあった。圧倒的に試合を支配しながらも、久しぶりにその手に掴みかけている勝ち点３の重圧から、最後は足が止まった。
苦しんで、苦しんで得た５試合ぶりの勝点３。ホーム初勝利。それだけに、喜びもひとしおだ。ロスタイムの3分間、「頼む!守りきってくれ!!」「集中！集中！」、スタンドには叫び声のような声援が飛び交っていた。試合終了を告げるホイッスルが鳴り響くと、大歓声とともに、グラウンドとスタンドで、いくつもの拳が空に向かって突き上げられた。
勝つことは、こんなにも難しくて、こんなにも嬉しい。
そのことを、選手とスタッフと、この日競技場に集ってくれた1,538人の観客が味わった瞬間だった。
表情を引き締めて会見に臨んだ飯塚は、力強く発言した。「４連敗したという事実は消すことはできない。だけど、もう遅いとは思わない。まだ戦いは始まったばかり。応援してくれる皆さんには、辛い思いをさせてしまったが、ここから挽回していきたい」。
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この日は、前節、フォワードとして先発出場した蒲原が負傷により欠場。フォワードは、飯塚と出場停止が解けた山腰が先発した。負傷により開幕から長期欠場していた津田がようやく戦列復帰。いきなり左サイドバックで先発出場を果たした。
試合序盤から、ゼルビアが攻勢をかける。前半1分には、山腰のポストプレーから、ペナルティエリア内右側にいた飯塚にパスが渡り、強烈なシュート。ニアサイドを狙ったシュートは惜しくもゴールキーパーに阻まれゴールならず。その後も、体を張ったポストプレーで相手最終ラインと駆け引きを行う山腰の周りを縦横無尽に動き回る飯塚から、多くのチャンスが生まれた。10分には、森川の縦パスに飯塚が反応し右サイド深い位置からクロス。12分にも、津田からのパスを受けた飯塚が上手く反転してディフェンダーと体を入れ替える。ドリブルで左サイド深くまでえぐり、ゴール前で待つ山腰にマイナスのクロスを送ったがGKに阻まれゴールならず。タイプの異なる飯塚と山腰、二人の相性の良さを感じさせた。
19分には、酒井が抜群のボールキープ力で、左サイドへドリブルでボールを運び、フォローに来た飯塚へバックパス。ペナルティエリア手前の左角でパスを受けた飯塚が、中央へドリブルで侵入しミドルシュート。ボールはゴール上へ外れゴールならず。21分には、左サイド深くまでオーバーラップした津田が山腰にパス。山腰がドリブルで中央に侵入しミドルシュート。またしてもゴール上に外れ、ゴールならず。流経大にまったくと言って良いほどチャンスを作らせず、試合の主導権を握るゼルビアが、ジリジリと相手ゴールへと迫っていた。 |
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前半26分、待望の先取点が生まれる。カウンターから、左サイドにポジションをとる飯塚にパスが渡ると、持ち前のスピードでマークにつくディフェンダーを引き離し縦に突破。ペナルティエリア内に侵入すると、強烈なシュートでGKのニアサイドを打ち抜きゴール。ゼルビアの今季ホーム初ゴールは飯塚の左足によってもたらされた。
ここまでの４連敗中は、すべて相手に先取点を与えていたゼルビア。「先取点を決めたときは、嬉しいというよりホッとした。本当に先取点が欲しかった」という飯塚の試合後の談話にも表れている通り、先取点奪取はこの日のゼルビアにとって、重要なテーマだった。
ノドから手が出るほど欲しかった先取点を得たことによって緊張がほぐれたのか、ダイナミックなプレーでゼルビアはさらに攻勢をしかける。30分には、ディフェンスラインの裏へ出されたパスに、２列目から酒井が走り込み決定的チャンス。しかし、相手GKがわずかに早くボールをキャッチしゴールならず。38分には、石堂からオーバーラップした津田へ絶妙なスルーパス。津田が低いグラウンダーのクロスを中央に送るが、相手の足にあたりカットされた。
前半も終盤にさしかかった41分、ペナルティエリア手前中央でボールをキープした山腰から、右サイドの酒井へ。酒井がゴール前へ送ったクロスに、相手ディフェンダーが飛びつき辛うじて体にあてると、ボールはポトリと落ちてゴール前中央へ。「こぼれ球を狙っていた」という飯塚が反応し、冷静にゴールへ流し込んだ。
飯塚の２ゴールによって、ゼルビアは2-0で前半を折り返した。 |
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後半も、ゼルビアが試合の主導権を握る試合展開。２点をリードしたことによって急いでゴールへ向かう必要のないゼルビアは、中盤でボールを回しながら相手ディフェンスが手薄になった箇所を探し、追加点のチャンスを伺う。相手を押し込む時間が続き、前半10分までに４本もCKを獲得するなど、リードしているチームにとって理想的な試合展開で後半がスタートした。6分には、酒井からのパスを中央で受けた山腰がドリブルでボールを運びミドルシュート。ボールは惜しくもゴールキーパー正面に飛びゴールならず。8分にはゴールキーパーの修行からのボールがそのまま右サイドの山腰に渡り、ドリブルからシュート。これも相手ゴールキーパーにはじかれゴールならず。
ゼルビアの攻勢が続く64分、一瞬のスキを突かれ、流経大に1点を献上してしまう。ハーフウェーライン辺りでゼルビアがファウルを犯しフリーキック。これを流経大が素早いリスタートでゼルビアのDFライン裏へ。走り込んだ相手FWの張がペナルティエリアに持ち込んで右足でシュート。この試合、何度かピンチを迎えていたDFライン裏へ斜めに蹴り込まれるパスによって、とうとうゴールを許してしまった。
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失点したものの、その後もゼルビアが優勢に試合を運ぶ。68分には、粘り強い守備で高い位置でボールを奪った半田が、前線で待つ山腰へボールをつなぐ。山腰が強烈なミドルシュートを放つも、わずかにゴール左に外れてゴールならず。25分には、石堂の絶妙な右CKに、フリーで飛び込んだ森川が頭であわせるが、惜しくもゴールキーパー正面へ。１点を失ったゼルビアが、だめ押しの３点目にむけて攻勢をしかける時間帯が続いた。
しかし、そろそろ試合も終盤にさしかかる75分ごろからは流経大の猛攻が始まった。75分、流経大の左サイドからのFK。ゴール前中央エリアに飛んだボールに誰も触れることが出来ず、流れたボールは右サイドでただ一人待っていた流経大の藤本へ。絶対絶命のピンチを迎えるが、至近距離からの強烈なシュートに修行が反応しファインセーブ。42分には、失点した場面と似たような形で、左サイドからのロングボールがゼルビアのDFラインの裏へ。カバーに入った津田が相手FWと競り合いシュートを阻止し、なんとか事なきを得た。
あわや同点となるピンチを迎える試合展開に、騒然となる試合会場。３分のロスタイムの間は、メインスタンドでも立ち上がって声援を送る人の姿も見られた。そろそろロスタイムの３分も消化しようかというころ、石堂の相手GKの虚を突いたロングシュートがわずかに外れ、試合終了のホイッスルが鳴り響いた。 |
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２得点の飯塚はもちろんのこと、負傷から復帰した津田と酒井の活躍も光った。酒井は、体からほどばしる闘志でボールにくらいつき、球ぎわで抜群の強さを見せた。攻撃時には、相手に囲まれても慌てることなく、相手を引きつけてからパスを出し局面を打開してみせた。津田も多彩なファーストタッチでボールを奪いにくる相手をいなしながら、ボールの収まりどころとして機能した。復帰した二人は、昨年と変わらないプレーを披露し、昨年と変わらないゼルビアらしいパスサッカーに取り組んだ。そのプレーからは『JFLに昇格して対戦相手のレベルが上がろうとも、落ち着いて自分たちのプレーをしよう』というメッセージが感じられた。
３試合目にしてようやく掴んだ、今季ホーム初勝利。これを浮上のきっかけにしたい。次節は、アウェイで首位のガイナーレ鳥取との一戦。厳しい戦いが予想されるが、この日のような試合運びで、勝ち点を持ち帰って欲しい。 |
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| 写真／安孫子卓郎 |
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| リリース掲載日：2009年4月20日 |
