第11回 日本フットボールリーグ 前期第9節 MIOびわこ草津 0-1 FC町田ゼルビア 前半0-0
得点 47分 齋藤
日時:5月5日(火) 13:00 KICK OFF 会場:三重県営鈴鹿スポーツガーデンサッカー・ラグビー場メイングラウンド 入場者数:584人 天候:雨 気温:19.3℃
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アウェイとはいえ、勝ち3点が欲しい一戦 前節、西が丘サッカー場でホームゲームを開催し、昨年度王者のHonda FCと引き分けたゼルビア。後半早々に中川が退場し一人少ない状況の中、Hondaに攻め込まれたが、集中した守備と機を見た効果的なカウンターで、まずまずの内容のサッカーを披露した。今節は、MIOびわこ草津と対戦のためアウェイに乗り込んだ。びわこは、ゼルビア同様苦しい戦いが続き、8節終了時点でゼルビアより一つ下の16位。アウェイとはいえ勝ち点3が欲しい一戦だ。 この日は、ここまで全試合先発出場を果たしていたディフェンダー(DF)の中川と森川が揃って出場停止。そのため、先発メンバーには若干の変更が見られた。システムは、前節同様4-2-2-2。ゴールキーパー(GK)は修行、4人のDFは、右サイドバックに齋藤、センターバックに深津と雑賀、左サイドバックに津田。ここまで全試合にメンバー入りしていた雑賀は、今季初の先発出場。ミッドフィルダー(MF)は、ボランチが石堂と柳崎、攻撃的ミッドフィルダーに酒井と半田。フォワード(FW)には山腰と蒲原が起用された。山腰と蒲原がツートプを組むのは今季初めて。前節は、一人少ない状況の中、攻撃ではカウンターの起点として、守りではファーストディフェンダーとして貢献した二人。どんなコンビネーションを見せてくれるのか、期待が集まった。
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こう着状態が続く、静かな立ち上がり
試合は、静かな立ち上がりとなった。開始早々に、立て続けにびわこがコーナーキックを2本獲得するものの、その後は両者ともにチャンスを作れない時間帯が続いた。ペナルティエリア付近まではお互いに攻め込むが、そこから崩すことができず、DFに跳ね返される場面が目立つ。 ゼルビアの最初のチャンスは25分。酒井が敵陣の中央やや右側のエリアからドリブルを開始。ペナルティエリア右角あたりまで持ち込みミドルシュート。しかし、うまくミートできずボールはGKの正面へ。29分には、びわこが反撃。ペナルティエリア手前の中央エリアで速いタテの壁パス。ゼルビアのDFの足が止まった瞬間にフリーでミドルシュート。ボールはワクを外れて失点は免れた。32分には、右サイドからあがったクロスを山腰がハーフボレー。うまく合わせたが、ボールはワクを外れゴールならず。41分には、前節ゴールを決めた柳崎がゴールまで約30メートルの距離からロングシュート。弾道鋭くゴールに向かったが惜しくもゴールバーを超えて得点ならず。43分には、左サイドをオーバーラップした津田が蒲原との壁パスで抜け出し、タッチライン近くまでエグることに成功。フリーの状態でゴール前へクロス。前半最大のチャンス。しかし、ファーに走り込んだ山腰とわずかにタイミングがあわず、頭で中へ折り返すのが精一杯。その折り返しに誰も詰めることが出来ず、相手GKにキャッチされてしまった。
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前半終了間際に相手コーナーキックの大ピンチ
逆に、44分には前半最大のピンチ。びわこが左サイドでコーナーキックを獲得。ゼルビアにとって、ここ最近苦手としているコーナーキック。しかも、前半終了間際の嫌な時間帯。蹴られたボールは、空中で競り合いとなり、こぼれ球がゴール前にポトリと落ちる。そのボールに両チームの選手が殺到し混戦に。相手に先に触られたらすぐ失点につながってしまいそうな大ピンチ。ホームのびわこサポーターが多く駆けつけた会場が、前半もっとも湧いた瞬間だった。しかし、何とかゼルビアの選手が先に反応し、ボールを外に大きく蹴り出し事なきをえた。 前半はゼルビアがシュート7本、びわこが5本。しかし、お互いが相手守備陣を崩す場面は少なく、こう着状態が続いた、という印象の前半だった。 |
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石堂の右コーナーキックが、フリーで待つ齋藤の頭へ
ハーフタイムに「雨の影響でグラウンドは多少スリッピーかも知れないが、怖がらずにパスを繋ぐ自分たちのサッカーをやりなさい」と戸塚監督から指示を受けたゼルビアの選手たち。後半の立ち上がりは、ゼルビアがペースを掴んだ。後半開始早々の46分、山腰が壁パスで相手守備を攻略し、ペナルティエリア内右サイドに侵入。そこからシュートを放つも相手の足にあたりコーナーキック。 右コーナーキック。石堂の左足によって蹴られたボールは、「巻いた」カーブがかかり相手ゴール前へ。曲がり、落ちるボールは、ニアサイドにいた何人かの両チームの選手の頭の上を通過し、ゴール前中央でフリーとなっていた齋藤の頭へ。町田出身、今季新加入の齋藤の嬉しいゼルビア初ゴールが生まれた。まだ試合が落ち着かない後半開始早々にセットプレーからの得点。今季これまで悔しい思いをしてきたシチュエーションで、逆にゼルビアが貴重な先取点を得ることに成功した。 その後も、勢いに乗るゼルビアの攻勢が続く。前半よりも前線でパスが繋がるようになり、ボール支配率が上がり、びわこを敵陣に押し込む時間帯が続いた。
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またしてもファウルトラブル
しかし、59分、ゼルビアの攻勢が途絶える出来事が起きる。待っていた落とし穴は、前節同様、またしてもファウルによるトラブルだった。 相手FWのくさびに入ったボールに雑賀が反応。伸ばした足が相手の足にかかってしまいファウル。これが危険なファウルと判断されイエローカード。すでに23分に警告を1枚もらっていた雑賀は退場処分となってしまった。ゼルビアは、またしても一人少ない状況で、残り30分以上を戦わなければならくなってしまった。 そこから、やはり、びわこに押し込まれる展開が始まった。59分、相手選手が左サイドから中央にドリブルで切り込み、ペナルティエリア内に侵入。ゼルビアの選手の対応が遅れ、フリーでシュートを許す決定的ピンチ。運良くシュートはワクをわずかに外れ失点は免れた。ゼルビアは61分にMFの半田に代えてDFの山アを投入。前節同様、山腰をワントップ気味にして、MFとDFで4人ずつ2つの守備ブロックを作った。その後もゼルビアの劣勢は続く。28分、びわこに左サイドを攻略されてクロスをあげられる。中で待っていたゼルビアの選手が頭で跳ね返すが、クリアを拾われてゴール前中央、ペナルティエリアすぐ外の危険なエリアでフリーでミドルシュートを許してしまう。これも運良くワクを外れ失点は免れた。39分には、ハーフウェーライン付近でボールを奪われ、びわこのショートカウンター。一気にゴール前までボールを運ばれシュートを打たれるが修行がセーブ。
後半ロスタイムにこの日最大のピンチが
数的優位を活かしゼルビアゴールに迫るびわこをギリギリのところで跳ね返しながら、ようやく迎えたロスタイム。この日最大のピンチが待っていた。びわこが、左サイドから中央へクロス。攻撃に多数の人数を裂いたびわこの選手と、守備に多数の人数を裂いたゼルビアの選手が殺到しゴール前は大混戦。そのこぼれ球がエリア外にいたびわこの選手の目の前へ転がり、ミドルシュート。まるで川面を走る石のように雨で濡れたピッチをすべりながら、低く強烈なシュートがゼルビアゴールへ向かう。コースもギリギリ、ゴールのワク内。同点を覚悟したその瞬間、修行の両手がボールを弾き出した。決定的チャンスを生かせなかったびわこサポーターの落胆と、修行のファインセーブに歓喜するゼルビアサポーターの興奮。その余韻がまだ残る会場に、試合終了の笛が鳴り響いた。
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しぶとく掴んだ勝ち点3
後半のシュート数は、ゼルビア4、びわこ7。その数字以上にびわこに攻め込まれた印象だ。一人少なくなってしまったことで、びわこに絶えず自陣に押し込まれ、効果的なカウンターもほとんどできなかった。 だが、こういう苦しい試合で勝ち点3を得るという経験こそ、今のゼルビアにとって重要なことなのかもしれない。開幕当初は、速く、強く、激しい相手のプレーに戸惑うような姿も見られたが、今はだいぶ改善し、前節のHonda戦やこの試合でもしぶとい戦いが出来ている。 次節は、ゼルビアと同じくJリーグ準加盟クラブのV・ファーレン長崎をホームで迎え撃つ。3週間振りにホーム・町田市立陸上競技場に登場するゼルビア。厳しい戦いを経験し、たくましくなった姿を見せてくれるはずだ。
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写真/安孫子卓郎 |
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リリース掲載日:2009年5月7日 |