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長崎との3度目の対決は、またしてもドロー

第11回 日本フットボールリーグ 前期第10節
FC町田ゼルビア vs. V・ファーレン長崎

日時:5月10日(日) 13:00 KICK OFF
会場:町田市立陸上競技場
入場者数:2,514人
天候:晴
気温:30.8℃
 
町田 vs. 長崎、準加盟「同期」対決

 Jリーグ準加盟クラブ対決第3ラウンド。ホーム・町田市立陸上競技場でV・ファーレン長崎と対戦した。長崎は、ゼルビアと同じく地域リーグから今季JFLに昇格。今年2月17日には、ゼルビアと同じ日に準加盟承認を受けた。今季のJFLには準加盟クラブは3つ。ガイナーレ鳥取とニューウェーブ北九州は昨季までにどらちも準加盟を済ませているため、ゼルビアと長崎は”同期”といったところだ。これまで2度の対決は、ともに90分では決着がつかず、PK戦の末、1勝1敗。直近の対戦は、互いにJFL昇格を決めた、昨年11月の全国地域サッカーリーグ決勝大会の決勝ラウンド。スコアレスのままPK戦に突入し、ゼルビアが辛くも勝利。JFLへの昇格券をグッと手元にたぐり寄せた。
 この日、3度目の対戦。「同期」の両クラブ、どちらがこの半年でより実力をつけたのか? 何としても勝利したい一戦が始まった。

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Photo/Takuo Abiko


ファーストタッチでファーストゴール

 この日のスターティングメンバーは、ゴールキーパー(GK)に修行、ディフェンスは右サイドバックに森川、センターバックに中川と深津、左サイドバックに津田。ミッドフィルダー(MF)はボランチに石堂と柳崎、攻撃的MFに酒井と半田。フォワード(FW)は山腰と蒲原。前節出場停止だった森川と中川が先発に戻って来た。システムは、お馴染みの4-2-2-2。
 試合は、アクシデントで幕を開けた。守備に戻っていた山腰が、ボールのないところで、モモの裏を痛めてピッチに倒れ込む。駆けつけたゼルビアの選手たちから一度は試合続行可能のサインが送られるが、担架でピッチ外に出されると、そのまま負傷交代となってしまった。山腰に代わってフォワードの位置に入ったのは大江。出場停止以外では常に出場していた山腰の試合開始直後の負傷交代、というアクシデントに会場はどよめいたが、大江がグラウンドに飛び出すと大きな拍手が送られた。
 その1分後、またしても大江は大歓声の中にいた。試合に入って最初に触ったボール
が長崎にゴールに吸い込まれていた。前半7分、左サイドでボールをキープした津田が、同じく左サイドに開いていた石堂にパス。それを受けた石堂が、相手DFとGKの間に落ちるクロス。ボールが上がったその先にはゼルビアの選手は一人もいない。しかし、長崎のGKがボールをキャッチしようと両手を挙げたその瞬間、スルスルと走り込んでき大江がキーパーより先にヘディング。ボールはそのまま無人のゴールに吸い込まれた。スタジアムは、山腰の負傷交代への不安が大きかった分、代わって入った大江のゴールで大歓声に包まれた。

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Photo/Takuo Abiko
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Photo/Kohichiro Yamada


長崎のカウンターの脅威

 その後は互角の攻防が続く。ゼルビアがボールをキープし、チャンスも長崎より多く作ったが、長崎のサイドチェンジを織り交ぜたカウンターも鋭かった。17分には、MFとDFの間でフリーでボールを受けた酒井がドリブルで持ち込み、ペナルティエリア手前からミドルシュート。しかし、ボールはワクを超えてゴールならず。
 22分には長崎のカウンター。オフサイドギリギリの動きだしでゼルビアのDFライン裏に抜け出した長崎の選手が、左サイドでボールを受けるとゼルビアゴール目がけてドリブルを開始。カバーに戻った中川が追いつき、うまく体を当てたかに見えたが、そのプレーがファウルと判断され、長崎にPKを与えてしまった。
 PKを蹴るのは長崎の田上。修行も反応しボールと同じサイドに飛んだが、わずかに届かず同点ゴール。試合を振り出しに戻されてしまった。
 早い時間に同点に追いつかれてしまったものの、その後はゼルビアの攻勢が続く。23分には中央やや右側で浮いたパスを受けた酒井が胸でトラップし、そのままペナルティエリアにドリブルで侵入。中で待つ大江にフワリと浮いた横パス。そのパスは相手DFにクリアされてしまったが、中途半端な位置に落ちた、そのクリアのこぼれ球を拾った半田がフリーでボレーシュート。ボールはゴール上を超えて得点ならず。28分と29分にはセットプレーから立て続けに大きなチャンス。28分は石堂の左サイドからのFKを深津が得意のヘディングで合わせるが、ボールは相手DFにあたりCKへ。続けざまの右サイドからのCKに、森川がタイミングよく合わせたが、これも相手にあたりゴールならず。前半ロスタイムには、左サイドをオーバラップした津田がドリブルでゴール前まで持ち込んで、中で待つ蒲原へパス。しかしわずかに合わずゴールならず。
 前半のシュート本数はゼルビア5本、長崎4本。時間が進むに連れて徐々にゼルビアが攻勢を増していったが、追加点は奪えず。1-1のまま前半が終了した。

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Photo/Kohichiro Yamada


長崎の足が止まりはじめる

 町田市立陸上競技場で計測したこの日の気温は、30.8℃。真夏のような暑さとなった。この暑さも、試合の流れを左右する重要な要素となった。先に足が止まったのは長崎だった。前半とは明らかに動きが異なる長崎に対し、後半開始早々からゼルビアが攻撃をしかけた。
 48分には、柳崎との壁パスで抜け出した大江がタッチラインギリギリまで侵入しクロス。フワリと浮いたボールは誰も触れることができず、そのままタッチラインの外へ。4分にはゴール前約30mの位置からのFK。距離があるためゴール前で待つ味方にカーブをかけたボールを合わせるかと思われたが、意表を付いてライナー性の速いシュートで直接ゴールを狙った。意外性のあるシュートがゴールに向かい、会場にも歓声が起きたが、ボールはわずかにゴール左に外れてゴールならず。5分には蒲原と上手く体を入れ替えた大江が右サイドを突破。オーバーラップした柳崎にクロスを送るもわずかに合わず。16分には右サイドで相手DFと一対一となった酒井が、また抜きで突破。サイド深くまでえぐってマイナスのクロスを送るが相手DFにあたりCK。23分にはペナルティエリアすぐ外の中央エリアでパスを受けた蒲原が、右サイド敵陣深くへスピードのあるドリブル。消耗している長崎のDFはついてこれない。右サイド、角度のない位置から蒲原のシュート。シュートはワクを外れたものの、ボールはGKの横を通過し、無人の長崎のゴール前を横切る絶好のチャンス。しかし、だれもボールを押し込むことができない。大きなチャンスを逃してしまった。31分には、ゴールに背を向けた状態でパスを受けた蒲原が、ゴール前でフリーとなった半田へ絶好のパス。パスを受けた半田はGKと一対一。思い切り右足を振り抜いたが、カバーに入った長崎DFのスライディングに阻まれゴールならず。

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Photo/Takuo Abiko
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Phtoto/Takuo Abiko


飯塚が前線をかき回す

 何度も決定機を作りながら勝ち越し点を奪えない。徐々に焦りが募り出す75分ごろになると、その想いとは反比例するように、攻め続けたゼルビアの選手たちにも疲労が見え始める。すると戸塚監督は半田に代えて飯塚を投入。元気な選手を投入し、打開を計った。39分には、その飯塚がDFラインギリギリの位置にいた大江へラストパス。長崎のDFライン裏に飛び出した大江は、追いすがる相手DFを引き離しGKと一対一。会場は大きく湧いたが、オフサイドを告げる笛。飯塚からのパスを受けた大江がオフサイドと判定された。41分には、柳崎がハーフウェーライン付近の高い位置で粘り強い守備からボールを奪う。そのこぼれ球を拾った飯塚が左サイドをドリブルし、攻撃参加した柳崎にボールを預けると、勢い良く斜めにフリーランニング。一気に右サイドのゴール前へ。そこに柳崎からのクロスが送られたが、わずかにあわず。ロスタイムには、左サイドのペナルティエリア内に侵入した飯塚が、巧みなキックフェイントで相手をかわしシュート。しかし、カバーに入った相手選手の体に当たり、ゴールならず。

圧倒的に攻め込むが、勝ちきれない

 結局、後半は疲れの見え始めた長崎を攻め続けたが勝ち越しゴールを奪えず、同点のまま試合終了となった。後半のシュート本数はゼルビア5、長崎2。CKは、試合全体で、ゼルビアの11本に対し長崎は0本。多くのデータからゼルビアの攻勢が伺えるが、肝心のスコアは1-1。守備は徐々に安定してきただけに、自分たちが主導権を握ることができた試合で、いかに得点を奪って、いかに勝ちきるのかという攻撃面が今後の課題となる。
次節は、アウェイで、前期10節終了時点で未だ未勝利で最下位の三菱水島FCと対戦する。油断は禁物だが、試合の主導権を握り、勝ち点3を勝ち取って帰って欲しい。

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Photo/Takuo Abiko
 
リリース掲載日:2009年5月11日
 
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