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苦しんだ10番の今季初ゴールで、後期白星スタート!

第11回 日本フットボールリーグ 後期第1節
FC町田ゼルビア 1-0 佐川印刷SC


得点
後半30分 蒲原

日時:7月4日(土) 14:00 KICK OFF
会場:町田市立陸上競技場
入場者数:1,201人
天候:曇のち晴
気温:29.7℃
 
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 彼は、責任を感じていた。
 JFL前期リーグ。序盤は失点が多く4連敗を喫したものの、その後は守備陣が奮起し、失点は減少。安定した戦いができるようになった。だが、順位は思うようには上がらない。内容で相手を上回る試合が多いものの、得点を奪い、勝ちきることができず、引き分けが多くなった。
 「俺が点を取れないから」。
 前期リーグの苦戦の要因について訪ねると彼は、きっぱりとそう答えた。
 前線にケガ人が続出し、FWとしての出場が続いているが、本来はMF登録の選手である。しかし、得力不足に悩むチームの現状を、無得点の自分の責任と責めていた。
 ドリブルは冴えていた。素早いターン、タッチの細かい緩急をつけたドリブルは、JFLに上がっても、何人もの相手DFを置き去りにした。チャンスメーカーとして攻撃陣を牽引していた。
 しかし、シュートが入らない。確かに、相手守備陣のレベルは上がっている。目の前の相手をかわした瞬間、カバーに入るDFの足が何本も彼の前に立ちはだかる光景は昨年まではなかったものだった。しかし、それでも、1試合の中で何回かは相手守備陣を完全に崩すシーンがあった。だが、ゴールネットを揺らすことはできなかった。
 後半30分、蒲原のシュートが、佐川印刷のゴールネットに吸い込まれた。後期開幕戦でようやく決めた今季初ゴール。その瞬間、ゼルビアの選手が彼の元に駆け寄った。手荒く飛びつく選手もいた。観客席からは、蒲原の名を叫ぶ声がいくつも聞こえてきた。『みんなが彼のゴールを待っていた』そう強く伝わってくる光景だった。
 試合後、蒲原は力強く宣言した「これから、俺がガンガン点をとって、ガンガン勝ちます」。観客席を見つめて、力強く語るその姿からは、「自分が活躍して、ゼルビアをJリーグに上げる」その責任感が感じられた。


大前が今季初先発、野津田デビュー!

 この日は、後期リーグ開幕戦。相手は、前期リーグの開幕戦でも対戦した佐川印刷SC。現在の順位はゼルビアより上位だが、前期リーグの対戦ではアウェイながら、1-0で勝利した相手だ。
 この日の先発は、ゴールキーパー(GK)に修行。修行は4試合振りの先発復帰。ディフェンダー(DF)は、右サイドバックに森川、センターバックに中川と深津、左サイドバックに津田。ミッドフィルダー(MF)は、ボランチに大前と金、攻撃的MFに柳崎と酒井。今季新加入の大前は、ホーム初出場。「出場機会のない時でも、いつも良い準備をして、練習にも高い意識で取り組んでくれた」(戸塚監督)という部分が評価された。フォワードは、山腰と蒲原。


開始早々から立て続けに決定的なチャンス
 
 この日は、試合序盤からゼルビアのペース。前線で小気味良くパスがまわり、佐川印刷ゴールに迫る展開が数多く見られた。
 この日のファーストシュートは、柳崎。まだ開始1分もたたないころ、深津からのロングボールを山腰が落としたボールに反応し、フリーでミドルシュート。強烈なシュートだったが、わずかにワクを捉えることができずゴールならず。
 前半2分には、金からパスを受けた右サイドの蒲原が中央へクロス。ファーサイドでフリーで待っていた大前がダイビングヘッド。しかし、ワクを外れゴールならず。
 前半22分、右サイドの蒲原が、中央で待つ山腰へクサビの縦パス。山腰がダイレクトで右前方にボールを流すと、フリーで抜け出した柳崎が! 柳崎がファーサイドを狙って、右足を思い切り振り抜いたが、これもわずかにワクを外れゴールならず。決定的なチャンスだった。
 前半29分、左サイドでドリブルで粘った蒲原が中央の山腰へ横パス。山腰が、右横で待つ酒井へさらにパスをつなぎ、酒井が右足でシュート。しかし。ワクをわずかに外れゴールならず。

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修行のファインセーブ連発で、ピンチを凌ぎきる

 ゼルビアの攻勢が続いたが、前半30分頃には立て続けにピンチが。前半31分、右サイドから、佐川印刷のコーナーキック。ファーサイドへボールが流れると、至近距離から相手選手のヘディング! しかし、修行が横っ飛びでボールをかき出し阻止。
 さらに、立て続けの前半32分には、ゼルビアのゴール前でこぼれ球を拾った佐川印刷がペナルティエリア内から強烈なシュート! しかし、これも修行が反応しシュートを阻止。修行の立て続けのファインセーブで、失点を免れた。
 前半40分には、さらに大きなピンチが。ペナルティエリア内で相手選手が転倒し、ファウルの判定。ペナルティキック(PK)を与えてしまった。絶体絶命のピンチ。失点を覚悟したが、相手選手がワクを外し、なんとか事なきを得た。
 前半は0-0のまま終了。ゼルビアが主導権を握ったものの、得点することはできなかった。今季初先発の大前は、献身的なプレーで攻守に貢献。シンプルにパスをつなぎ、攻撃にリズムをもたらした。
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相手を圧倒しながらも、得点が奪えない展開

 前半に右足を痛めた金が、ハーフタイムに石堂と交代。石堂はボランチに入った。後半もゼルビアが押し気味に試合をすすめる展開。相手陣内で長い時間プレーし、佐川印刷を自陣に押し込んだ。
 後半14分、右サイド、ペナルティエリア角あたりでボールを受けた柳崎が立ちはだかる相手DFを置き去りにして、ペナルティエリア内に侵入。角度のないところから右足でゴールを狙ったが、ワクを外れゴールならず。
 後半19分、津田からの縦パスを受けた石堂が、蒲原に落とすと、スピードに乗った蒲原がドリブルで相手ペナルティエリア内に侵入。左足でシュートを狙ったがワクを外れてしまった。
 後半20分、左サイド、ペナルティエリア角で、ボールを受けた蒲原が反転しタテへドリブル。相手DFも必死に食らいついたが、足をとられ転倒。GKと一対一となった蒲原が、角度の無いところから右足でゴールを狙ったが、相手GKの足にあたりCKへ。
 後半22分、右サイドからの石堂のCKに森川が飛び込み、頭で合わせたが、ワクを外れゴールならず。
 後半26分、前線で相手DFラインと駆け引きをする蒲原へ、柳崎からフワリと浮いた絶妙なパス。DFラインのウラへ飛び出した蒲原が独走し、相手GKと一対一。タッチの細かいドリブルから、小さいモーションで右足でシュートを放ったが、相手GKがすばやく反応しパンチング。さらに、そのこぼれ球に詰めた柳崎がシュートを放ったが、これも相手GKがセーブ。決定的なシュートを2本連続で放ちながらゴールを割ることができなかった。
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山腰、柳崎とつなぎ、蒲原が決勝ゴール!

 会場内に、徐々に「焦り」の空気が漂い始めた後半30分。ゼルビアに待望の先制点がもたらされた。右サイド、ペナルティエリア角あたりでスローインを受けた山腰が、走り込む柳崎へボールを落とす。柳崎へ殺到する相手守備陣。相手GKも前に飛び出した。すると、柳崎は、さらに中央にいる蒲原へパス。フリーで待つ蒲原が、落ち着いてボールをゴールに流し込んで先制ゴール!
 その後は、攻めるしかなくなった佐川印刷の猛攻を浴びるが、ゼルビアの守備陣は集中を切らさず、相手の攻撃を跳ね返し続けた。ロスタイムには殊勲の蒲原に代えて李を投入。さらに守備ブロックを強固にし、1点を守りきった。
 終止、相手を攻めて勝利を手にしたゼルビア。素早いパス交換で中央を崩す攻撃、サイドで相手DFとの一対一を作り出し個人技で攻略する攻撃など、昨年のサッカーを彷彿とさせる場面も何度か見られた。相手の倍となる18本のシュートを放ちながら、1得点しかできなかったことは課題だが、今後に期待を抱かせる試合内容となった。
 次節は、アウェイで流通経済大学と対戦する。佐川印刷に続き、流通経済大学も前期リーグでは勝利している相手。勝ち点3を獲得し、7月19日にホームで開催するガイナーレ鳥取との準加盟クラブ対決を迎えたい。
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photo/Takuo ABIKO
 
リリース掲載日:2009年7月6日
 
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