第11回 日本フットボールリーグ 後期第5節 FC町田ゼルビア 1-1 MIOびわこ草津 前半0-0
日時:8月2日(日) 14:00 KICK OFF 会場:町田市立陸上競技場 入場者数:1,426人 天候:曇 一時 雨 気温:26.6℃
スターティングメンバー GK 30修行 DF 22森川 26深津 6中川 2津田 MF 8石堂 24大前 16金 FW 13飯塚 10蒲原 14山腰
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リザーブ 1渡辺 4雑賀 25齋藤 18李 20半田 19大江 17柏木
得点 57分 山腰 86分 MIOびわこ草津
途中交代 81分 蒲原(←大江) 87分 雑賀(←飯塚)
警告・退場 35分 警告 修行 54分 警告 津田 59分 警告 森川
熾烈な「4位以内」争い 上位のびわこと直接対決
JFL後期開幕後、すべて勝利の4連勝。前節は、アウェイながら昨年度王者のHonda FCに3-0で勝利。勝ち点は、後期4節終了時点で32。Jリーグ昇格条件である「4位」以内につけるガイナーレ鳥取との差は、わずか「4」。射程圏内というよりも、すでに4位以内の争いのまっただ中という状況に変わってきた。 とはいえ、今年のJFLは大混戦。第4節終了時点でのゼルビアの順位は10位。ゼルビアと鳥取の勝ち点4差の間に、5チームがひしめいている。今節、JFL後期第5節、ホーム・野津田に迎えたMIOびわこ草津も、そのひしめく5チームの中の1つ。ゼルビアと同じ勝ち点32ながら、得失点差により1つ上の9位につけている。 上位進出へ向けて、重要な試合となった。
当日は、あいにくの天候。午前中から、雨が降り続き、時折降りやむものの、前半には強い雨が降るなど、不安定な気候だった。
酒井、柳崎が出場停止 飯塚と金が先発出場
この日のスターティングメンバーは、ゴールキーパー(GK)に修行。ディフェンダー(DF)は、左サイドバックに津田、センターバックに中川と深津、右サイドバックに森川。ミッドフィルダー(MF)はボランチに石堂と大前、攻撃的MFに飯塚と金。フォワード(FW)は、蒲原と山腰。 今節は、ここまで攻撃的MF(2列目)として先発出場が続いていた主将の酒井と柳崎が累積警告により出場停止。FW登録の飯塚と、ボランチとして起用されることの多かった金が2列目に名を連ねた。
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序盤から、ゼルビアのリズム 前線からの守備、スピーディーなパスワークが機能
序盤から、ゼルビアがリズムを掴み主導権を握る展開となった。最近の好調を支えている、前線からの積極的な守備が、メンバーが変わったこの日も機能。びわこに満足にパスを綱がらせず、リズムを作らせなかった。山腰、蒲原が積極的に相手DFを追いかけまわし、彼らやMFの選手が高い位置でボールを奪った。攻撃では、石堂、金、大前といった正確なキックを持った選手たちのパスが、攻撃の合図となった。彼らがクサビを入れれば、FW山腰、蒲原がしっかりとボールを前線でキープ。飯塚を含めた3人が良い距離関係をとっており、ワンタッチでウラに抜ける選手にパスをしたり、素直にボールを落としたりと、クサビからの展開は実に多彩だった。石堂、大前、金が、クサビではなく、サイドへの展開を選べば、攻撃参加した津田や森川がサイド深くに侵入しクロスを上げた。 前半9分、津田が前線の蒲原に縦パス。蒲原が斜め前方へワンタッチでヒールで落とすと、そのまま走り込んで来ていた津田がボールを受けて、ダイレクトでDFラインのウラを狙う飯塚へパス。ボールをうけた飯塚は、マークにつく相手をドリブルでタテに抜けて引き離そうとしたが、惜しくもシュートは撃てなかった。 前半11分、左サイドに開いた山腰へ展開。山腰が中央に向かって斜めにドリブルで切り込み、ミドルシュート。横っ飛びした相手GKの手に当たり、惜しくもゴールならず。 前半22分、右サイドをオーバーラップした森川が、中央へクロス。相手DFがクリアしたこぼれ球を拾った蒲原がペナルティエリア内からシュート。しかし、相手DFの体にあたりゴールならず。 前半24分、攻撃参加した森川が中央で待つ飯塚へ横パス。パスを受けた飯塚が、ドリブルでゴールラインまで切り込み、中へ折り返し。ニアサイドで待ち構える相手GKを横切ったが、カバーに戻った相手DFにクリアされてしまった。 前半29分、右サイド、ハーフウェーライン付近で、蒲原が相手DF二人に囲まれながらもタテに抜ける大前へ、絶妙なパス。大前がドリブルで持ち上がり中へクロスを試みたが、カバーに入った相手DFの足にあたりコーナーキック。 石堂が蹴ったコーナーキックは、ニアサイドでジャンプして飛びつこうとした相手GKの頭上を超えてゴール前ファーサイドへ! あとはボールを押し込むだけとなった、無人化したゴール前へ両チームの選手が殺到したが、惜しくもゴールならず。
圧倒的に攻め込みながらも、 0-0のまま前半終了
前半30分ごろになると、突如、雨が強くなり始めた。競技場の屋根を叩く雨音で周りの音が聞こえなくなるほどの豪雨だった。集中力を保ちにくい環境。それが影響したのか、この時間帯からは、試合の流れが変わり、少しずつびわこの攻撃の時間帯が増えはじめた。 前半36分には、ゼルビアのDFラインのウラへ出されたロングボールに相手FWが反応。ペナルティエリア外に飛び出した修業のスライディングが相手FWの足にかかりファウル。ヒヤリとするピンチだった。 前半は0-0まま終了。ゼルビアが、ほとんどの時間帯でボールを支配し、主導権を握ったが、得点を奪うことができなかった。びわこの和田監督は、試合後、「前半は特にゼルビアに攻め込まれた。自分たちのサッカーがほとんど出来なかった」と振り返った。前半のシュートはゼルビア6本、びわこ0本。
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前節に続き、 蒲原・山腰のコンビで先制点
後半もゼルビアが主導権を握る展開。立ち上がりの後半3分、左サイドで津田が攻撃参加し、ボールをキープ。津田のさらに外側を走り込み、追い越した蒲原へ縦パス。蒲原は、ゴールライン手前までドリブルで侵入し、中へ鋭いクロス。中央に走り込んだ飯塚に通ればゴール、という形だったが、直前で相手GKがパンチグで阻み、惜しくも飯塚へボールは届かなかった。 後半11分、待望の先取点が生まれる。ペナルティエリア内、右サイドに侵入した蒲原が対面する相手DFを引き離し、タテに突破。ゴールライン付近から、中央へグラウンダーのクロス。中央で待っていた山腰が、相手DFと競り合いながら、上手く体を入れて、倒れ込みながらシュート! 相手ゴールキーパーも反応できず、ゴールネットに吸い込まれた。前節も蒲原からのアシストで山腰は2ゴール。徐々にコンビネーションが熟成されてきている。
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攻め込みながらも、 追加点を奪えない嫌な展開
後半14分、びわこの攻撃。ゼルビアのゴール前中央で混戦となり、こぼれ球がペナルティエリア左角あたりにいる相手FWへ。フリーの状態から強烈なシュートを撃たれたが、修行が体を仰け反りながらファインセーブ! 失点を免れた。 後半17分、石堂から左サイドのスペースへ走り込む飯塚へパス。飯塚は、中央をよく見て、ペナルティエリアすぐ外でフリーで待つ大前へマイナスのパスを選択。大前が右足アウトサイドでシュートを狙ったが、慌ててシュートコースを塞いだ相手DFの体にあたりゴールならず。 後半18分、ゴール前左サイドでボールを受けた山腰。中央へドリブルで進むと見せて、足の裏で後方へボールを残すと、猛然と走り込んだ蒲原とスイッチ。蒲原は相手DF二人を置き去りにし、左サイドへ侵入。ゴール前、ファーサイドへ走り込む大前へピンポイントのクロスを上げたが、大前に渡る直前で中央の相手DFにヘディングでクリアされゴールならず。 後半24分、ゼルビアのボールを奪い、ボールを落ち着かせて、長いボールでクリアしようとする相手センターバックに山腰がプレッシャーをかけて、ボールを奪い取ることに成功。そのままゴール前まで進んだ山腰は、シュートを撃つ角度がなかったため、中央へのパスを選択。しかし、これは味方に合わなかった。 後半29分、左サイド、自陣でボールを受けた津田が、相手DF二人をかわして、約40メートルの距離をドリブルで疾走。中央へセンタリングを送ったが、相手GKにキャッチされてしまった。 |
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次々と選手交代を行うびわこ 終了間際にまさかの同点弾
圧倒的に攻め込みながら、追加点を奪えない展開。対する、びわこは、早めに選手交代を行い、攻撃のテコ入れを計る。後半も35分を過ぎ始めたころからは、消耗の少ないフレッシュな選手が、ゼルビアのDFラインのウラへ飛び出すシーンが徐々に増えはじめた。 「相手の選手交代によって、徐々にマークにズレが生じはじめて来た。そこを修正しなさいと指示をおくっていた(戸塚監督)」。 対する、ゼルビアは、蒲原に代わり、FWの大江を投入。守備的な選手を投入するのではなく、あえて攻撃的な選手を投入し、前線の高い位置で起点を作ろうとした。 しかし、残り4分、びわこに痛恨の同点ゴールを許してしまう。右サイドをびわこの壽にドリブルで破られ、ゴールライン手前から中央へクロス、攻撃参加していた相手DFの谷口に頭で決められてしまった。 失点後も、決勝点を狙ってびわこゴールを攻め立てたが、ゴールを奪うことはできず、そのまま試合終了となった。
「サッカーというものは、勝っているチームは、必ず終盤に苦しい時間帯が訪れるスポーツ(戸塚監督)
ほとんどの時間帯でゼルビアが主導権握っていた。びわこの和田監督も、試合後の記者会見で「どの試合でも勝ち点3獲得を目標としているが、今日は勝ち点1を奪えて幸運、という試合内容だった。町田の選手のテクニックとスピードに対応するのに苦労した。試合内容で言えば、ウチの負けゲームだった。」と振り返ったように、試合内容はゼルビアが優勢だった。 しかし、結果は勝ち点1を分け合った。 試合後、戸塚監督は、試合をこう表現した。 「これがサッカーなんだと思う。サッカーというものは、勝っているチームは、必ず終盤に苦しい時間帯が訪れるスポーツ。やはり、あれだけ押し込んでいながら1点しかとれないと、こういう事が起きる。とはいえ、チームは着実に良くなって来ている。あともう一歩成長するための課題が見えた試合。落とせない試合が続くが、課題を克服してきたい」 この結果により、勝ち点は1つ増えて、33となった。連勝は途絶えたが、後期の無敗は続いている。今節、4位のガイナーレ鳥取が破れたため、Jリーグ昇格条件の4位との差は、「3」となった。 次節は、アウェイでV・ファーレン長崎と対戦する。長崎は、勝ち点34の6位。しかも、ゼルビアと同じく今年JFLに昇格し、Jリーグ準加盟クラブに承認された「同期」だ。 上位進出へ向けて、重要な試合が続く。
photo/Takuo ABIKO |
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リリース掲載日:2009年8月3日 |